植物の効能

○視覚疲労の回復

パソコンを使った長時間のデスクワークによって、目の疲れ、視力低下、ドライアイ、肩・腰などの痛み、精神疲労などが問題となっています。人は目が疲れてくると、自然と目を揉んだり、目薬をさしたりしますが、オフィス内に植物を置くことで、その疲労を軽減することが可能です。

近年のIT化を受け、室内でのパソコンを用いた作業が多くなったことによる、目の疲労、肩こり、心身の疲労、腰痛などの様々な問題が生じています。
本研究は、室内における緑が上記の様々な問題に対して、どのような影響を及ぼすかについてフリッカー値(中枢性疲労=眼の疲労)を用いて調査・実験を行っている。実験内容としては、計6時間のVDT作業のうち、1時間毎に5分間ずつ視覚刺激(鉢植の樹木を見せるなど)を提示し、その結果の違いをグラフにまとめた(下図参照)。
実験の結果としては、下図にあるように、無刺激条件及び模造品の緑と比べ、鉢植の樹木のフリッカー値が高く、視覚疲労が少ないとみなせることが分かった。

figure1図 視覚刺激によるフリッカー値の変化

出典:近藤三雄,鳥山貴司 「室内等の緑によるVDT作業がもたらす視覚疲労の回復効果に関する実験的研究」 『造園雑誌』 52(5), 社団法人日本造園学会,139-144, 1989-03-31。

○アメニティ効果(園芸療法)

植物を自分で世話することで、植物から得られる効能をより高めることが出来るとも言われています。その最たる例が園芸セラピー(園芸療法)です。アメリカの園芸協会のアンケート調査では、園芸によって「安らぎ」や「落ち着き」が得られるとの回答が、約80%以上を占めていたそうです。

○ストレス緩和

近年スローライフやアウトドアといった、都会を離れた自然の中での活動が注目されています。また週末などに出かけることで、リフレッシュしたり、気分を一新したりする人も多いようです。このような都会の喧騒を離れて、自然に近い場所に向かうことで、私たちは自然とストレスを緩和させているのかもしれません。

figure2この研究では、「植物による癒しの効果」を「人のストレスを緩和する効果」と定義し、予防医学の観点から、屋内空間における観葉植物の有無が健常者のストレス緩和に与える影響を検証している。
内容としては、鉢植えの観葉植物を用意した机と何も置かない机を用意し、クレべリンテストを用いた計算作業を行い、被験者にストレス負荷をかけ、唾液に含まれるコルチゾールを比較検討した。 この結果、観葉植物があることによって、受けるストレス量を最大で約6倍減らせることが分かった。また生理的な指標でもあるコルチゾールを用いた検証により、視野内に観葉植物があることによって、心理的にも生理的にもストレスを緩和することがあるといえる。

図 ストレス負荷後のコルチゾール増加率

出典: 岩崎寛・山本聡・権孝姃・渡邉幹夫 「屋内空間における植物のストレス緩和効果に関する実験」 『日本緑化工学会誌』 32(1),日本緑化工学会, 247-249, 2006-08-3

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空間

○空間の演出

オフィス内や店舗空間に緑化演出をすることで、訪問されるお客様に対して、優しく洗練されたイメージを抱かせることが出来ます。また変化の乏しい室内に、季節の植物や花を設置することで、変化のある空間をつくることが出来ます。

○職場環境の向上

植物の設置、またそのレイアウトにより、オフィスや店舗のイメージを大きく変えることが可能です。植物による自然な仕切りなどで構成された心地よい空間は、その環境で働くor生活する人にとってもより良い環境であると言えます。

○空気清浄化効果(CO2吸収効果)

植物は光合成を行うことで、空気中の二酸化炭素などを吸収し、酸素を放出します。空気の循環を行うことで、室内をより良い空間へと改善します。また植物は空気中に存在する有害物質である、ホルムアルデヒドなどの有害物質を吸着・分解することで、シックハウス症候群などを抑制します。

屋内の空気環境に関する研究は、アメリカ航空宇宙局(NASA)が、1973年に300種類以上のVOCを宇宙船から検出し、それらによる人体へ異常をきたすことが分かったことを機に開始された。
NASAでの研究は30年近く続けれら、その研究の中でも中核的なメンバーであった、B.C.ウォルヴァートン博士は、1984年に「宇宙空間だけではなく、閉ざされた生活空間において健全な屋内環境システムを維持する手段として、特定の50種の植物(エコ・プラント)が空気をきれいにして、湿度の調整もする」という研究報告を発表した。

その報告では、植物の種類によって多少の差異はあるが、ベンゼンでは50~90%、トリクロロエチレンでは10~25%が除去されるとされている。米国環境保護局は、1989年に、公共の建物には900種類を超えるVOCが確認されていると同国議会に報告した。植物による有害物質の浄化の仕組みとしては、まず葉の気孔から取り入れた空気に含まれた有害ガスの約30%を葉が吸収する。残りの約70%は根に運ばれ、根の周りに共生する微生物が吸収分解し、無毒化する。

つまり植物がごく自然に行っている呼吸、光合成などの活動で、シックビル疾患症候群の原因にもなる有害物質が除去されるのである。また、最近のNASAの研究では、土壌中に生息するバクテリアによって有害物質が分解され、植物の根が吸収・濾過することも明らかになっている。 さらにエコ・プラントは空気中の有害物質を吸収し続け、ガスを除去するだけでなく、その除去率は時間とともに上がってくるが、植物自身にはダメージがない。 隙間の少ない建物は、エネルギーの消費を減らす一方で、室内の汚れた空気(湿気、熱気、におい等)を除去する換気能力を低下させる。行政による対策や、化学物質を抑えた建材の開発などが進んできているが、これを無くすのはほぼ不可能であり、屋内に新鮮な空気を取り入れるには、エコ・プラントが非常に有効である。

具体的に「エコ・プラント」と呼ばれ、特に化学物質の除去や蒸散作用率が高いとされている観葉植物は、アレカヤシ、カンノンチク、ゴムの木、タマシダ、フェニックス、「幸福の木」と呼ばれるドラセナ・フレグランス・マッサンゲアナなどである。

出典:B.Cウォールバートン 『エコ・プラント -室内の空気をきれいにする植物-』 主婦の友社

○防災効果

観葉植物は木及び土そのものに水分を保っているので、強い耐火性があります。また火災時の熱を遮る遮熱性があるため、延焼を抑制するほか、非常時には避難経路の確保などに役立ちます。また通常時には、都市の喧噪や車の走行による騒音や振動の低減、空間を柔らかく仕切ることが出来ます。

ビジネス

○ブランディング

全国展開している店舗やショールームなどでは、ブランディングの一環として、統一した植物や鉢などを使う企業が増えてきています。統一した装飾はお客様にとって安らぎと信頼を醸成・深化させるきっかけとなります。

○集客効果・宣伝効果

クリスマスに施設の入り口に置かれる大きなもみの木や、少し手の込んだ作りの植物を配置することで、お客様の興味を誘うなど、低コストで集客効果が見込めます。 また集客効果が高まり、話題性が出てくることで、メディアはもちろん、ソーシャルネットワーキングサービス等への書き込みなど、お客様自身による宣伝といった効果も見込めます。

○リピート率・滞在率アップ

過ごしやすい空間には、多くのお客様が訪れ、滞在します。お客様にとってより良い空間・環境をご提供することで、施設へのリピート率及び滞在率のアップが見込めます。またお客様の満足を実現することで、緑化を単なるサービスから“ホスピタリティ”へと変えることが可能です。

○リクルート効果

洗練したあるいはデザインに優れた緑化は、就職活動などの採用に対して、企業イメージの訴求に繋がります。業界や同業他社に対しては、明確な差別化をすることが可能です。